絶対音感は作曲家に必要?
今回は絶対音感と作曲家の関係性について詳しく解説します。
これまで有名作曲家として名を刻んだ人物達は絶対音感を持っていたのでしょうか?
気になる真相と絶対音感と相対音感の違いについてお伝えしていきます。
作曲家に必要とされる力についてもお伝えしていきますので最後まで確認してみて下さい。
後半では、絶対音感を持っていないにも関わらず有名作曲家として名を残したリヒャルト・ワーグナーという人物がどのようにして有名になることができたのかを幼少期から成功するまでの過程を詳しくお伝えします。
作曲家として活動していく気持ちがあるのであれば、非常に参考になるので確認してみて下さい。
1. 絶対音感がないと有名作曲家にはなれない?
絶対音感がないと有名作曲家にはなれないと思っていませんか?
確かに有名作曲家の中には絶対音感があったとされている人物は何名かいます。
ただ、絶対音感が無かったとしても作曲家として成功することは可能です。
絶対音感というのは音を聴いた瞬間に音を正確に判断する能力ですが、作曲家として活動していく場合は特別、音を的確に判断できなくても何ら不都合はありません。
作曲家にとってはこの能力は必ずしも必要ではないのです。
確かに有名作曲家の中には絶対音感を備えていたとされる人物は何名かいます。
ただ、絶対音感は無かったが有名な作曲家として名を残した人物は数多く存在します。
絶対音感がある=作曲家の才能がある。
というわけではないのです。
もし、あなたが作曲家として絶対音感が無いことに劣等感を感じているのであれば、何も心配する必要はないです。
2. 絶対音感と相対音感の違い
絶対音感と相対音感の違いが良く分からないという方は多いです。
どちらも音を正確に言い当てることには変わりありません。
ただ、音を認識するまでの過程が異なります。
絶対音感の場合、音を聴くと瞬時に「ドミド」「レミファ」など直感に近い感覚で音を正確に言い当てることができます。
一方、相対音感の場合は、頭の中で基準となる音があり、その基準の音と比較して、聴いた音が高いのか低いのかを判断し、正確な音を探っていきます。
2つはどちらも音を判断する力ですが、音を判断するまでのプロセスが違います。
絶対音感は2歳〜6歳頃までにトレーニングを積むことで誰でも一生忘れることなく身に付けることができるとされています。
逆にこの時期を逃してしまうと後からトレーニングによって完璧な絶対音感を覚えることは非常に難しいとされています。
一方、相対音感は大人になってからでもトレーニングによっていくらでも伸ばすことができます。
3. 絶対音感以外の作曲家にとって必要なもの
作曲家の仕事は、メロディーの中で音を「いつ」「どれだけ」上下させるかを考えることです。
そのため、音と音にどれだけ上下差があるのか判断する能力があれば良いので、瞬時に正確な音を理解する絶対音感ではなく、音と音の差を識別する力である、相対音感の方が大切です。
相対音感があることで人は音楽を美しいと感じることが出来ると言われています。
そのため誰しも相対音感は持っているとされています。
相対音感は絶対音感とは違い、大人になってからでもトレーニングを行うことによって伸ばせることが証明されています。
4. 絶対音感のない有名作曲家のヒストリー
名を残した有名作曲家の中で、絶対音感があったとされている作曲家は、
「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト」
「ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン」
「フレデリック・ショパン」
「フランツ・リスト」
と言われています。
逆に絶対音感が無かったが有名な作曲家になった人物は
「フランツ・ヨーゼフ・ハイドン」
「モーリス・ラヴェル」
「ヨハネス・ブラームス」
「リヒャルト・シュトラウス」
「リヒャルト・ワーグナー」
がいます。
例えば、リヒャルト・ワーグナーは19世紀のドイツの作曲家であり、指揮者、ロマン派歌劇の頂点に君臨していた人物です。
「楽劇王」という異名を持っていたほどのその道のプロでした。
そんなワーグナーは家族が音楽好きということもあり、幼い頃から音楽を聴きながら生活を送っていました。
15歳になるとベートーヴェンに憧れるようになり音楽家の道に進むことになります。
10代から積極的にピアノ作品を作曲し続けていき、ドイツの出版社であるショット社に刊行を依頼するも断れてしまいます。
それでも諦めず、復活祭の折りにライプツィヒを訪れたベルンハルト・ショットに直接楽譜を渡すも、不備も多く出版には至りませんでした。
18歳になると大学に入学し、哲学や音楽を学びましたが、中退をしてしまい楽劇作曲家を目指しましたが全く芽が出ることなく、貧困に苦しむ生活が続きました。
その後、劇場指揮者として転々とする生活を送り続け、その日を生きることに精一杯の日々が続きます。
その後、パリに移りましたが相変わらず貧しい生活が続きました。
オペラの作曲活動を続けるも評価されることはなく、将来に不安と焦りを感じながらもその日を何とか暮らしていました。
そんな時、ワーグナーが以前作曲した『最後の護民官リエンツィ』という曲が彼の故郷であるザクセン王国・ドレスデンのドレスデン国立歌劇場で上演が決定したのです。
ワーグナーは急いで故郷に戻り、指揮者として演奏しました。
この演奏が見事に成功したことでワーグナーはようやく世間から注目されるようになったのです。
ワーグナーは作曲活動を続けるも誰からも相手にされない状況が続き、普通であれば諦めてしまうような場面が何度もあったのにも関わらず、諦めずに作曲を継続したことで花を咲かせた人物です。
結果的に、19世紀のドイツの作曲家や指揮者、ロマン派歌劇として、頂点に君臨することになり、「楽劇王」として今のなお語り継がれるような人物となりました。
元々、幼少期から音楽が身近にある生活を送ってきたとは言え、作曲した作品は誰からも評価されてない日々が続いたことから、特別な才能があったというわけではないと言えます。
どんなに苦しい状況であっても決して諦めること無く、作曲活動を続けてきたことで頂点へと上り詰めることができました。
このことからも絶対音感の能力が無かったとしても、作曲家として成功することは可能であると言えます。
5. 絶対音感がなくても作曲家になれる!
絶対音感があると、聴いた音を簡単に弾くことができたり、直ぐに曲をおぼえてしまったりと、持っていない人からすると非常に羨ましいと感じる能力です。
ただ、作曲家として活動する場合、正確に音を判断する絶対音感はあまり役立ちません。
作曲家はメロディーに合わせて音をどれだけ上下させるかを考えることが大切だからです。
そのため、絶対音感よりも音と音を比較する相対音感の方が作曲家として必要となる力だと言えます。
有名作曲家の中には、絶対音感を持っていた人物もいます。
ただ、一方で絶対音感が無くても有名になった作曲家も数多く存在します。
こうした事実から絶対音感があるのかどうかは作曲家として成功するかどうかという部分にはあまり関係しないのだと分かります。